園芸学会雑誌
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ウンシュウミカンの陽葉と陰葉のアスコルビン酸, 糖及びクロロフィル含量の季節変動とその成分相互間の関係
泉 秀実伊東 卓爾吉田 保治
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1990 年 59 巻 2 号 p. 389-397

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抄録

光強度がウンシュウミカン葉のAsA含量に及ぼす影響を検討し, 陽葉と陰葉のAsA, 糖及びクロロフィル含量の日変化と季節的変化を調べた.
1. 春葉の生長中のAsA含量は, 5月初期に増加した後, 6月から減少を示した. 展葉期以後に枝の基部から遮光処理を施すと, AsA含量の変化は, 自然光下の場合とほぼ同じパターンを示したが, 受光量が少なくなるに従って含量は低くなった.
2. 旧葉(2年生葉)の7月中のAsA含量は, 陽葉の方が陰葉より高く, 日変化は, 晴天日では日中高いが曇天日では夜間に高い傾向を示した. 組成糖(ブドウ糖, 果糖及びショ糖)のうち, ショ糖含量の日変化は陽葉, 陰葉ともにAsA含量の日変化と同様の傾向を示した. 春葉のAsAとショ糖含量は, 年間を通して常に陰葉に比べて陽葉の方が含量が高かった. AsAとショ糖含量の季節的変化もほぼ一致した傾向を示し, 7月から8月にかけては低い値を示したが, 2月まで徐々に増加し, その後, 再び減少を示した.
3. AsAとショ糖含量に比較して, クロロフィルは陽葉より陰葉の方が高い含量を示した. 日変化は, 陽葉, 陰葉ともに早朝に高く, 夜間に向けて減少する傾向を示した. 季節的変化は, 1月が最も高い含量を示したが, 全体的に変化量は小さかった.
4. 葉の日変化と季節的変化の結果をもとに, それぞれの各組成糖, クロロフィル含量とAsA含量との相関を求めた. 日変化, 季節的変化のどちらの場合も, 各組成糖含量とAsA含量との間には, 正の相関関係が認められ, クロロフィル含量とAsA含量との間には, 負の相関関係が認められた.

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