抄録
トマトにおいて葉序に由来した各葉位の花房内の個々の果実に対する光合成産物の分配パターンと整枝(草型)の違いから由来した各葉位の花房(果実)発育に対する役割をソース葉と果実との位置関係から解析した.
1.シングル花房の場合,各花房の第1果は花房直下葉と同列側に着生し,第1および第3果のように奇数番の果実は同列側に着生することが認められ,果実への分配率またはRSS値は同列側のソース葉から高く,反対列のソース葉からは低くなることが認められた.また,花房と反対列に位置する葉は果実に対する位置関係は中立とみられるが,花房直下葉を介して個々の果実へ光合成産物の分配パターンが決定されることが認められた.
2.花房直下葉の側枝(単軸分枝)を伸ばし,花房直上葉の仮軸分枝の花房のほかに側枝の花房も作る草型(現在の連続2段摘心栽培)や心止まり系で仮軸分枝が葉を分化しないで直ちに花芽を分化し,花房直下葉の側枝が次の主軸のような形になる'揚子'(心止まり)タイプの草型で栽培した.その場合,側枝を持つ葉とその側枝上の果実は分配率が低くても,緊密なソース•シンク関係があることが認められた.分配率はRSS値で示されるシンクの強さとシンクの大きさによって表されるものなので,その時点の果実の大きさまたはステージなどで変化する度合いが大きく,ソース•シンク関係を考察する場合には注意が必要であることが認められた.側枝上の葉の場合は側枝上の花房に対するソース•シンク関係は緊密であるが,主茎上の花房に対する関係は側枝を持つ葉と比べほぼ同等かまたはより緊密であることが認められた.3.これらの光合成産物の分配パターンやRSS値の特異的な偏りは,維管束の配列走行によるソースとシンク間における光合成産物の通導部の連絡の粗密によって起こるものと推定した.