抄録
異なる地域から入手したトウガラシ (Capsicum an-nuum L.) 15品種の水ストレスに対する反応を調査した. 水ストレス処理は開花直前に灌水を完全に停止することにより与えた. 処理した個体が昼夜を通じて激しい萎凋を示した段階で再灌水を行った. 早生品種は中生•晩生品種よりも長期間水ストレスに耐えた.これは, 早生品種が中生•晩生品種に較べ処理開始時の齢が低く個体も小さかったことと, 処理期間の湿度が高く温度も低かったことによるものと思われる.
ロングビッグおよびクラスタタイプの品種では, 水ストレスからの回復が遅く水ストレスに起因する種々の症状がみられたが, コーンタイプの品種ではそういった現象はみられなかった. 処理期間中すべての品種で伸長生長が停止または減少したが, ほとんどの品種で再給水後急速な茎長および葉身長の回復が認められた.このように伸長生長の急速な回復がみられること, 最終的な茎長•地上部重•根重がほとんど減少していないこととから, 光合成や呼吸等の代謝系はストレスによる傷害を受けていないことが示唆される. しかしながら, 栄養生長器官の急速な回復は果実の発達を抑制し, 結果的にいくつかの品種で収量減をもたらしたように思われる. 処理個体では, 収穫が遅れた. 収穫の遅れと処理期間がほぼ同じ品種で収量が減少する傾向があった.