園芸学会雑誌
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機械的に肥大を抑制したカブ肥大根の糖濃度について
河鰭 実之田原 誠崎山 亮三
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1992 年 61 巻 1 号 p. 99-105

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抄録
カブ肥大根における水の蓄積量の変化が糖の蓄積と糖濃度に及ぼす影響を明らかにするため, 肥大根の周囲に取り付けたアクリルパイプでその内径以上の肥大生長を機械的に抑制して水の蓄積を抑制し, その影響を調査した.
肥大抑制区の肥大根の体積は, 無処理区の肥大根の1/3程度まで抑制された. 肥大根当たりに蓄積した乾物, エタノール不溶性固形分, グルコース, フルクトースの量は肥大抑制区の方が少なく, スクロースの量は影響を受けなかった.
水分量当たりに含まれる各成分含量を比較すると,乾物含有率は, 肥大抑制処理により増加した. 主要な糖であったグルコースとフルクトース濃度はやや低下し, 一方スクロース濃度は増加し, 全糖濃度は一定であった. 形成層の外側, すぐ内側, 肥大根の中央部の3か所の部位について各成分含量を調べたが, 処理の影響に部位による差は認められなかった.
肥大抑制処理によって全糖濃度が影響を受けなかったことは糖の蓄積は水の蓄積に依存して変化することを示す. グルコースおよびフルクトースとスクロースとの間で肥大抑制処理による影響が異なったことから,肥大根の糖濃度は代謝的に調節されている可能性があった.
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