園芸学会雑誌
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クリナム (Crinum×powellii Hort. exBak. cv. Album)の開花に及ぼす温度の影響
森 源治郎今西 英雄坂西 義洋
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1992 年 61 巻 3 号 p. 651-657

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抄録

1.Crinumの自然環境下における生育開花習性を明らかにするとともに, 開花に必要な温度条件および栽培時の温度の効果について調べた.
2.1年間に仮軸分枝の繰り返しによって, 5~6の花序が形成された. 1単位の仮軸分枝は下位より1枚の薄膜状葉, 葉しょう部が茎軸を全周する1,2枚の同化葉, さらに葉しょう部が茎軸を半周する1枚の同化葉によって構成されている.
3.形成を開始した花芽は順次発育して雌ずい形成期に達したが, 7月中•下旬にこの段階に達していた花芽が翌年の4,5月に花粉形成期に達し, 5,6月に開花することがわかった.
4.雌ずい形成期に達した後, さらに発育して開花に至るためには低温経過を必要とする. この低温を自然低温にたよる場合, 堺市では12月上旬までの低温遭遇を必要とした.
5.恒温室を用いた実験結果では20°/17°C (昼/夜温) では60日間処理においても全く開花しなかったが, 15°/12°Cでは30日, 6°C一定では45日間の処理ですべて開花することが認められた.
6.必要な低温条件が満たされた後の株は10~25°Cの広い温度範囲で開花したが, 25°Cでの開花が最も早く, 36日後であった.

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