抄録
寒冷地の半促成作型である低温カット栽培と露地栽培におけるイチゴ黒斑病抵抗性系統'M16-AR 1','M16-AR 2'および'M16-AR 3'の適応性について検討した.
低温カット栽培では,低温制御期間中の低温量を'盛岡16号'で適当とされている1,400時間としたが,草丈,葉柄長,ランナー発生数などいずれの生育をみても'M16-AR'の各系統と'盛岡16号'の間に違いは認められなかった.また,収昼や果実の糖度,酸度'硬さにも有意差はなかった.
露地栽培においても低温カット栽培と同様な結果が得られ,生育,収量および果実の硬さなどの諸形質において,'M16-AR'の各系統と'盛岡16号'に有意差は認められなかった.
したがって,'M16-AR 1,2および3'の各系統は'盛岡16号'にかわる栽培種として低温カット栽培と露地栽培の両作型に適応性があると判断された.なお,これらの系統のうち,'M16-AR2'は新品種'アキタベリー'として種苗登録された.