1994 年 63 巻 2 号 p. 283-289
カキ3品種富有, '次郎'および'西村早生の茎頂培養由来の無菌幼植物体にRiプラスミド (pRiA4b)を保有するAgrobacterium rhizogenes A4株を有針接種し, クラウンゴールを誘導した. これらのクラウンゴールを10μMゼアチン, 10μMIAA, および500mg•l-1セフォタキシンで培養したところ, カルスが誘導された. これらのカルスを同種の培地で数回継代培養し除菌が完了したのちに, 10μMゼアチンと0.1μMIAAを添加したMS培地に植えかえたところ, 約60%のカルスが不定芽形成した。これらの不定芽は5μMゼアチンと1μMIBAを添加したMS培地上でシュートへと発達した. これらのシュートから全DNAを抽出しPCRならびにサザン分析を行ったところ, いくつかのシュート系統はRiTL-DNAによる形質転換体であることが明らかになった. しかしながら, クラウンゴール由来カルスから非形質転換体も分化した. 形質転換体には矮化や発根能の低下などの形質の変化が認められた.