1994 年 63 巻 2 号 p. 299-304
マスカット•オブ•アレキサンドリア'の加温栽培で, 開花3~4週間後から穂軸の穂梗節付近あるいは穂軸の全体が異常に肥厚する症状が発生し, 果房によっては果粒の発育や成熟が阻害される. 組織形態学的観察の結果, 師部組織の内部あるいは周辺に小型の柔細胞が異常増殖し, 師管の分裂が抑制されたり, 師部組織が圧迫されることが, 果粒の肥大や成熟を妨害する原因であると思われた. また, SEM観察により,異常分裂した細胞内に直径0.1~2μmの小顆粒が多数存在することが認められた.