園芸学会雑誌
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遮光と培養液のNO3/NH4比がNFT栽培トウガラシの生育•収量に及ぼす影響
鄭 顕福伊東 正丸尾 達
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1994 年 63 巻 2 号 p. 371-377

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抄録
培養液のNO3-N/NH4-N比と遮光程度を組合せた条件下で, NFTで栽培したトウガラシの生育, 果実収量, 光合成速度, 乾物生産などを検討した.
無遮光に比べ, 遮光 (25%ならびに50%) 条件下では主茎長, 分枝節間長がかなり増大した. また葉,茎, 根の生体重は, NH4-Nの添加 (NO3:NH4-9:1) によって増加した.
無遮光に比べ遮光条件下では, 株当たりの収穫果数,果重は減少したが, とくに50%遮光区ではその傾向が著しかった. しかし, 遮光条件下ではNH4-Nの添加 (NO3:NH4=9:1) によって, 無添加区より収量が増加した.
遮光処理により, 葉, 茎の乾物重および葉面積は増加した. 無遮光区では, NH4-Nの比率が高いほど乾物重と葉面積は減少した. しかし, 遮光区では逆にNH4-Nの比率が高いと, 乾物重と葉面積は増加した.無遮光区の光合成速度は, NH4-Nの比率が高いほど低下したが, 遮光条件下では逆に増加した.
NARおよびRGRは, 遮光により第1分枝の開花期から果実肥大期にあたる生育中期において低下したが,生育後期では無遮光区と変わらなかった.
以上の結果から, トウガラシのNFT栽培における生育促進や収量増加のためには, 強光下ではNO3-N単用のほうが, 弱光下では全Nの10~20%程度をNH4-Nとすることが望ましいと考えられる.
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