園芸学会雑誌
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ウンシュウミカンの着果が発育枝の光合成速度, 暗呼吸速度,葉中遊離ABA濃度ならびに翌年の着花に及ぼす影響
奥田 均木原 武士岩垣 功
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1995 年 64 巻 1 号 p. 9-16

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抄録
ウンシュウミカンの側枝において着果の有無が発育枝の光合成速度, 暗呼吸速度, 葉中遊離ABA濃度ならびに翌年の着花に及ぼす影響を調査するため, 側枝上に果実着生区と果実無生区を設け, それぞれの区の発育枝 (果実着生区:発育枝A, 果実無着生区:発育枝B) ついて比較した.
1.発育枝AとBの節数に差はなかった. しかし,発育枝Bの節間は長いため枝長が長くなった.
2.発育枝Aでは翌春において無着花新梢が多くなったが, 発育枝Bでは着花が多くなった.
3.発育枝AおよびBの光合成速度は9月から10月に最高であった. また, 発育枝Bのみかけの光合成速度は9月から10月に, 真の光合成速度は9月から11月にかけて発育枝Aより高かった. 発育枝Bの11月の暗呼吸速度は発育枝Aより高かったが, 8月から10月では差がなかった.
4.発育枝Bの10月における第1葉から第3葉の葉中の遊離ABA濃度は, いずれも発育枝Aより少なかった.
果実の着生している側枝上での発育枝の着花性が低いことについては, 前年の秋季に内生ABA濃度が上昇するため気孔伝導度が低下し, その結果光合成速度が低下すること, ならびに内生ABAが直接に生理的花芽分化を抑制することが考えられた.
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