園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
強日射•高温条件下におけるリュウガンとマンゴーの光合成
山田 昌彦深町 浩日高 哲志
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 64 巻 4 号 p. 749-756

詳細
抄録
リュウガン (Dimocarpus longan Lour.) とマンゴー(Mangifera indica L.) の2年生実生の葉にメタルハライドランプによって強光 (2000μmol•m-2•s-2) を与え, 湿度70±5%に維持しながら, 気温を30°Cから1.5時間ごとに36°Cまで3°Cずつ上昇させた。温度が上昇するにしたがって両種とも純光合成速度および気孔伝導度が減少し, 葉内炭酸ガス濃度が増大したが, とくにリュウガンではその変化が大きかった。マンゴーではいずれの温度でも純光合成速度と気孔伝導度の間に正の相関 (r=0.79~0.92**) が認められたのに対し, リュウガンでは30°Cと33°Cにおいて正の相関 (両温度ともr=0。91**) が認められたものの,36°Cでは相関は有意ではなかった (r=0.27NS). 純光合成速度と葉内炭酸ガス濃度との間の相関は両種とも30°Cと33°Cでは弱かったが, 36°Cでは強い負の相関 (リュウガンでr=-0.89**, マンゴーでr=-0.70**) が認められた。これらの結果は, 温度が上昇するにしたがって, 非気孔要因によって純光合成速度の低下が生じることを示している. また, 暗黒高温条件によるクロロフィル蛍光比 (Fv/Fm) の低下はマンゴーよりもリュウガンの方が大きかった。以上の結果をもとに, リュウガンとマンゴーの高温•強日射環境に対する適応性について論議した。
著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top