園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
暖地におけるカキ樹の生育と光合成特性の品種間差異
岩崎 直人吉田 明子
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 64 巻 4 号 p. 757-762

詳細
抄録
7年生カキ4品種を供試して樹体の生育および光合成速度と根の呼吸量の時期別変化について調査し, 生態的特性の品種間差異について検討した.
1.生育期間中の主幹肥大量は, 早生系の'刀根早生'および'西村早生'において大きく, 次いで'平核無'であり, '富有'では最も劣った. また, 秋季の当年枝における全糖含量は'富有'で最も高く, デンプン含量は最も低い値であった.
2.7月上旬の個葉における光合成速度は'富有'で最も高い値を示し, 次いで'西村早生'で高く, '平核無'および'刀根早生'は同程度で最も低い値であった.しかしながら, 8月上旬では'平核無'および'刀根早生'において最も高い値を示し, 次いで'富有', '西村早生'では最も低い値を示した.
3.根の呼吸量における品種間差は明らかではなかった. しかしながら, 8月中旬の呼吸量は25°Cでは品種間差はなかったが, 30°Cにおいては'平核無'や'刀根早生'に比べて'富有'および'西村早生'で有意に低い値を示した.
以上の結果から, 比較的温暖な気候条件下では, 果実の収穫時期が早い品種で樹体の生育が旺盛で, また高温条件下において個葉の光合成速度が高く維持される'平核無'や'刀根早生'で生産性は高いと考えられ,温暖な気候条件にも適していると思われた.
著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top