園芸学会雑誌
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種子繁殖性ダイアンサスの開花に及ぼす低温と日長の影響ならびにその品種間差異
竹田 義
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1996 年 65 巻 3 号 p. 615-623

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抄録
主に切り花として利用される種子繁殖性ダイアンサスであるミカドナデシコ,ヒゲナデシコ,カワラナデシコ,およびハマナデシコの開花に対する低温と日長の影響を調べた.
1.ミカドナデシコ'ミスビワコ'とヒゲナデシコ'黒川早生'は抽だい,開花に対して低温を必要とし,戸外の自然条件では12月中旬までの低温遭遇によって低温要求が満たされた.最低気温7°Cは花芽形成に有効な温度であったが,14°Cは低温として感応しにくい温度であった.長日は,低温遭遇した株の抽だいと開花を促進したが,低温を受けていない株に対しては栄養生長を促した.
ミカドナデシコ'ミスビワコ'とヒゲナデシコ'黒川早生'は,吸水種子の段階では低温に反応せず,本葉が9~10節展開した苗齢に達した段階で低温に反応する緑植物春化であった.
ヒゲナデシコの低温要求性には明確な品種間差異があり,5°Cの低温処理で,抽だい率が100%に達するための処理期間は0~9週間であった.
2.カワラナデシコ'改良河原撫子赤色'とハマナデシコ慶紅撫子高性赤色'の開花には,低温要求性がなく,日長の影響も小さかった.両種の生育,開花を規定する主たる要因は温度であり,高温下では短期間に生殖生長に移行した.
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