園芸学会雑誌
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夜間光照射によるミニトマトの裂果発生の制御の可能性
太田 勝巳鶴永 建治細木 高志
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1998 年 67 巻 2 号 p. 216-218

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抄録
定植後から収穫終了時まで園試処方標準濃度液で水耕栽培したミニトマト'サンチェリーエキストラ'において, 夜間(午前1時∿午前5時)光照射した場合, 裂果の発生が制御可能かどうか検討した.裂果発生率は対照区では約10%であった.強光照射区(81.1μmol・s-1・m-2 PAR)においては4%となったが, 弱光照射区(8.1μmol・s-1・m-2 PAR)においては約8.5%であり, 対照区とほぼ同程度であった.強光照射区では午前4時における気孔の拡散抵抗は低下した.果柄の水分移動速度は強光照射処理時間中に低下し負の値を示したが, 一方, 葉柄の水分移動速度は正の値をとり, 水分が流入していることを示した.午前4時における強光照射区の葉の水ポテンシャルは対照区に比べ低下した.以上の結果より, 夜間に強光を照射した場合, 葉からの蒸散が生じることによって植物体内から水分が減少し, 果実への水分流入が抑制された結果, 裂果の発生が低減したものと考えられる.
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