園芸学会雑誌
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ホウレンソウプロトプラストからの植物体再生における品種間差異
後藤 隆子宮崎 正則奥 正和
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1998 年 67 巻 4 号 p. 503-506

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抄録
ホウレンソウ葉肉由来プロトプラストの収量, 分裂率および再分化の品種間差異について調査した.プロトプラスト分裂率およびコロニー形成率は品種によって大きく異なり, '禹城'が最も高かった.次に高かったのは'次郎丸'および'ミンスターランド'で, '豊葉'はプロトプラスト分裂率がやや低い値を示したものの, コロニー形成率はこれらの品種と差がなかった.'札幌大葉', 'バイキング'および'ビロフレー'の分裂率は低かった.植物体の再生は'禹城', '豊葉', '次郎丸'および'ミンスターランド'で観察された.しかし, 再分化率は分裂率の高かった'禹城'よりも'豊葉'および'次郎丸'の方が顕著に高い傾向を示した.'札幌大葉', 'バイキング'および'ビロフレー'では, 茎葉の分化が全く観察されなかった.再分化率は1.0または10.0mg・liter-1 IBAを含む培地で高かったが, 10.0mg・liter-1 IBAまたはIAAを含む培地で誘導されたシュートにはしばしばビトリフィケーションや奇形が観察された.以上の結果, プロトプラスト培養は明らかに品種の違いによる影響を受け, 比較的収量や分裂率および再分化率が高い'豊葉'と'次郎丸'が材料として適していると考えられた.
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