抄録
肥大生長期にあるキュウリ果実の糖濃度の決定機構について水分蓄積との関係から調べた.水分蓄積が糖濃度に与える影響を評価するため, キュウリ果実をアクリルパイプで覆って肥大成長を抑制し水分の蓄積を機械的に抑制した.この処理は, 果実肥大を新鮮重で対照果実の40から72%に抑制した.乾物率とヘキソース濃度はそれぞれ対照の127%から138%および134%から173%に増加した.スクロースは, 全糖濃度に占める割合は小さかったが, 処理後顕著に増加した.酸性インベルターゼ活性はスクロース濃度と負の相関があり, スクロースの蓄積は酸性インベルターゼ活性の低下と関係していることが示唆された.経時的に処理効果をみると, 乾物率が一定に推移したのに対し, 可溶性糖濃度は全処理期間を通じて増加し続けた.従って, 可溶性糖濃度が増加したのは, 炭水化物の流入が相対的に水の流入を上回ったためではないことを示した.可溶性糖濃度と水分蓄積との関係について考察した.