園芸学会雑誌
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カキ'次郎'における着花数と樹体栄養との関係
大城 晃安間 貞夫
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1998 年 67 巻 6 号 p. 890-896

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抄録

着花数(正常花)と関連する体内栄養条件を明らかにするため,カキ'前川次郎'を供試し,収量と樹体内成分濃度および樹体内成分濃度と着花数との関係について検討した.1.前年の葉中成分と正常花数との関係において,6月の可溶性糖類と幹の断面積当たりの正常花数との間に0.48と弱い正の相関がみられた.2. 1年生枝の窒素含有率と正常花数との間には正の相関がみられ,幹の断面積当たりの正常花数との相関係数は0.57であった.さらに,3年間の調査結果では不作年における冬季の貯蔵窒素量が少ない傾向が認められた.3.正常花数は休眠期の1年生枝中窒素含有率と前年の6月の葉中可溶性糖類を取り入れた重回帰式により比較的高い寄与率が得られた.4.以上の結果から,正常花の着生に関与する樹体の栄養条件としては,花芽分化開始期の葉中炭水化物と花器の発育開始期頃の1年生枝中の窒素栄養が重要なものと考えられた.5.適正着果量は樹体の栄養状態からみても,葉果比40前後と考えられた.

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