園芸学会雑誌
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ほ場で栽培中のユリの LSV, TBV-L および CMV の ELISA 法と DIBA 法による検出
新美 芳二権平 正轡田 圭孝辻 ひろ
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1999 年 68 巻 1 号 p. 176-183

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抄録
1. DIBA法のウイルス検出感度を調べるため, DIBA法とELISA法でユリ'エンチャントメント'のりん片を供試し, ウイルス(LSV, TBV-L, CMV)の検出を行った.DIBA法の検出感度はELISA法の約1/10∿1/100であったが, ウイルスの検出は可能であることがわかった.2. ユリのウイルスの検出に好適な試料を決めるため, 花被, 苞葉と茎の下部, 中部および上部に着生した葉についてELISAの吸光度値(405nm)を比較した結果, 上部着生葉で最も高い値が得られた.そして2品種および1種を供試し, 上部および下部着生葉を開花約1カ月前から開花まで採集してELISA検定を行った結果, 葉のELISAの吸光度値はいずれのユリでも開花期頃に最高となり, 2品種では上部着生葉, 1種では下部着生葉でそれぞれ高かった.3. ほ場に生育中の18種類のユリの550個体の上部着生葉の基部切片を試料として, DIBA法で3種類のウイルスの検出を行った.調査個体の約73%からいづれかのウイルスが検出され, LSV, TBV-LおよびCMVが単独で検出された株はそれぞれ約52, 2と1%で, 残りの18%からは複数のウイルスが検出された.調査した18種類中のうち10種類のユリでは, 80%以上の個体からウイルスが検出された.4. LSVのみが検出されたユリではウイルスによる外部病徴はほとんど現れなかった.しかし, モザイク症状を呈した1種の葉からはLSVとTBV-Lが検出され, LSVとTBV-LあるいはCMVに重複感染した3品種の株は, 茎の伸長がLSVのみ検出された株と比べ抑制された.
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