抄録
Visual display terminal(VDT)作業を視覚負荷とした際の,瞬目および瞳孔径の動的変化について検討した。屈折異常以外に眼科的疾患をもたない,矯正視力1.0以上の健常若年者11名11眼を対象に,角膜および瞳孔径の変化をDual Scheimpflug Analyzer(GALILEI)を用いて測定した。各被験者はVDT作業として,コンピュータゲームを1時間行った。その結果,角膜高次収差に変化は認められなかったが,VDT作業後において光刺激に対する縮瞳の遅延が認められた。また,VDT作業前と比較して,VDT作業後は瞬目回数が増加した。瞬目に伴う一過性の縮瞳は変化が小さくなり,瞳孔径が最小になるまでに要する時間が有意に短縮した。しかしながら,瞬目に伴う瞳孔径の変化は連続して瞬目を行うことでVDT作業前の測定結果に近づいたことから,視機能の低下を瞬目により補助している可能性が示唆された。