園芸学会雑誌
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チェリープラムの土 : 根境界水ポテンシャルが土壌の脱水と再吸水に応じる維持と履歴現象
徐 会連/梅村 弘/Laurent GauthierAndre Gosselin
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1999 年 68 巻 2 号 p. 228-235

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抄録
土-根境界の水ポテンシャル(Ψs・r)は土と根の境界層の水分状態を示し, 水ストレスの最適指標として提唱されているが, 直接的な測定は簡単にできない.著者らは, オーム法則のアナログを用いΨs・rを求め, 異なる人工培地に生長するチェリープラムのΨs・rおよび植物体木部水ポテンシャル(ΨX)と蒸散速度(EA)が土壌の脱水と再吸水に対する反応を調べた.これらの人工培地は, 堆肥化した樹皮, ピートと砂(培地-1);ピート, 樹皮, 砂と堆肥(培地-2);およびピート, 鋸屑と砂(培地-3)からつくった.土壌を脱水させて, マトリックポテンシャル(Ψm)が低下した時, 培地-2で生長する植物は, より高いΨs・rおよび高いΨXを保った.しかし, 脱水した土壌をまた再吸水させる時, 同じΨmでもΨs・rは常に土壌が脱水する時のものに比べ低かった.ΨmとΨs・rの間には強い"履歴現象"と言われる反応が起こった.履歴現象は培地-2で一番大きく, 培地-3で一番小さかった.ΨXとEAにおいてはΨs・rの場合と似た履歴現象が起こった.Ψs・rが土壌の脱水に対する反応と土壌再吸水に対する履歴現象は, その培地の水伝導度にかかわることが考えられた.
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