抄録
ヒメサユリ(Lilium rubellum Baker)子球(培養開始時の新鮮重30∿60mg)の生長に適した液体培地のショ糖濃度を決定するため, 培地および培養中の子球の糖変化を調査した.1. 100, 150および250mMのショ糖を添加したMS培地(それぞれ, 100, 150および250mMショ糖培地とよぶ)で子球を8週間培養した結果, その新鮮重増加率は250mMショ糖培地で高く, その増加は培養開始4から8週間後で最大であった.2. 250mMショ糖培地をオートクレーブで滅菌したあと培地中の糖を調査したところ, 217.5mMショ糖, 32.5mMブドウ糖と32.5mM果糖が検出された.3. 150mMおよび250mMショ糖培地に含まれる3種類の糖(ショ糖, ブドウ糖および果糖)は, 150mMショ糖培地で培養開始8週間後, 250mMショ糖培地では12週間後にほとんど消失した.4. 上述の2種類の培地で培養した子球中の糖(ショ糖, ブドウ糖, 果糖)およびデンプン含量の変化を調査した.ショ糖は培養4週間まで増加し, そのあと減少した.一方, ブドウ糖および果糖は培養期間中ほぼ一定であった.デンプンは150mMショ糖培地より250mMショ糖培地で培養した子球で高かった.そして, 培養後半には子球内デンプン含量は減少し, その減少率は前者の子球で大きかった.培養期間中の培地の糖および子球の炭水化物含量の変化に関する結果から, 液体振盪培養したヒメサユリ子球の生長の促進・維持は, 培養開始後8∿12週間後に培地を更新することにより可能であることが明らかとなった.