園芸学会雑誌
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トマト雄性不稔の突然変異系統における稔性回復の季節依存性
桝田 正治内田 浩司加藤 鎌司 /Stephen G. Agong
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2000 年 69 巻 5 号 p. 557-562

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抄録

トマト'ファースト'にガンマー線を照射して作出したT-4雄性不稔突然変異体の春秋期における稔性回復性について調査した.挿し木によって栄養繁殖したT-4株は春期に全て不稔性を示した.これら同植物体を秋期に自然環境下で栽培したところ, すべての株が稔性回復を示し, 自家受粉花の約50%に結実がみられ, 果実当たり平均26粒の種子を得た.その自殖種子を翌春に自然環境下で栽培したところ株は全て不稔性を示した.同植物は秋期に稔性回復し果実当たり35粒の種子を得た.短日および長日処理は, 不稔性回復に影響しなかった.T-4株の人工培地上での花粉発芽率は春期より秋期の方が高かったが, その値は原品種'ファースト'と比べればはるかに低かった.春期のT-4株の花粉は発芽しても花粉管伸長速度が遅く途中で停止したが, 秋期には速まり最終の花粉管長においては'ファースト'のそれと差が無くなった.これらの結果より, T-4雄性不稔突然変異体の不稔回復は, 秋の低温に強く依存しているものと考えられた.

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