抄録
Arbuscular菌根菌[Gigaspora margarita (GM), Glomus fasciculatum (gf), Glomus mosseae (gm) and Glomus sp. R10 (gr)]が感染したアスパラガス(Asparagus officinalis L., cv. Mary Washington 500W)実生へ紫紋羽病菌(Helicobasidium mompa Tanaka)を接種し, 発病状態を調査した.AM菌接種12週間後において, AM菌接種区では菌種に関わらず生長促進効果が現れ, その効果はGMおよびgr接種区でgfおよびgm接種区より大きかった.AM菌感染率(1個体の根系における感染率)は菌種により異なり, grで最高の50.0%, gmで最低の32.0%であった.AM菌感染植物体へ紫紋羽病菌を接種して12週間後, 根腐れはすべての処理区で現れた.しかし, 発病率はgm接種区(63.6%)を除くAM菌接種区(9.1∿45.5%)で無接種区(54.5%)より小さく, 発病指数も処理区間で同様の傾向があった.特に, gr接種区では発病率と発病指数がともに顕著に小さかった.また, 健全株の生長はすべてのAM菌接種区で無接種区より旺盛であった.これらのことから, AM菌が感染したアスパラガス実生においては, 生長促進効果がみられるとともに, ほとんどの菌種によって紫紋羽病耐性が付与され, その効果にはAM菌の菌種間差のあることが示唆された.