抄録
開花期前後の温度条件および花の内生, 外生ジベレリンが甘果オウトウ'佐藤錦'の胚のうの発育と結実に及ぼす影響について調査した.開花1カ月前から開花終了時まで, 15℃(低温区)と25℃(高温区)の人工気象室で栽培したところ, 高温区では珠心や胚のうが低温区よりも急速に退化した.'高砂'の花粉を授粉した結果, 結実率は低温区に比べて高温区で著しく低かった.花の内生ジベレリン様物質の濃度は, 高温区の方が低温区よりも有意に高かった.発芽直後の花芽にGA3を10および100ppmの濃度で散布したところ, 開花2日後には退化した胚珠や珠心を有する胚珠の割合が著しく増加した.一方, 発芽直後の花芽にパクロブトラゾールを処理したところ, 開花後の胚のうの寿命が延長され, 結実率が増加した.これらのことから, 花器のジベレリンレベルが珠心や胚のうの発育や退化に関係していること, また, 高温下における胚のうの急速な退化やそれに伴う結実率の低下には, ジベレリンレベルの上昇が関与していることが示唆された.