抄録
'興津早生'ウンシュウミカン樹に水ストレスを与え, 成熟期の果実の各部位の可溶性固形物含量(SSC)と酸含量に及ぼす影響を調べた.対照区の果実では横方向のSSCの差は成熟に伴って大きくなった.また, 酸含量の差は横方向では果頂部で, 縦方向では果皮部で成熟に伴なって小さくなった.満開後140日から230日まで水ストレスを受けた果実のSSCは, 水ストレスを受けない果実に比べて12%-47%増加した.その際, 果梗部への影響が最も大きかった.一方, 満開後190日から230日までの水ストレスによって, 酸含量は赤道部の果心部では対照区にくらべて11-17%高くなり, 逆に果皮部では4-13%低くなった.以上の結果より, 水ストレスによって, 果実の全部位のSSCは増加するが, 酸含量は部位によって増加したり, 減少したりすることが明らかとなった.