園芸学会雑誌
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2 倍体および 4 倍体ブドウの雌ずい内における花粉管誘導組織の発達過程
岡本 五郎林 温子平野 健
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2002 年 71 巻 1 号 p. 8-12

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抄録
2倍体の2品種('キャンベル・アーリー', 'マスカット・オブ・アレキサンドリア')と4倍体の2品種('巨峰', '翠峰')の開花前の雌ずいを横断切片とし, 花粉管誘導組織(TT)の発達過程を比較した.花柱の中央部では, TT細胞の形成開始は2倍体品種の方が4倍体品種よりも早かったが, 開花期のTTの大きさやTT細胞数には両者に一定の傾向がなかった.一方, 2倍体品種の子房上部(胚珠上部の位置)では, 隔壁の外側(子室の中心側)の3∿5層の細胞が開花13日前に円形化し, 広い細胞間隙をもつTT細胞となったが, 4倍体品種では開花9または6日前で, 1または2層がTT細胞になっただけであった.しかし, この時期の子房の生長や花粉の発達は4倍体品種の方が活発であった.以上のことから, 4倍体品種の子房内におけるTTの発達不良は, 開花1∿2週間前の隔壁細胞におけるTT細胞への転換が不活発であるためといえる.
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