園芸学会雑誌
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パルス振幅変調 (PAM) クロロフィル蛍光測定法による野菜の高温ストレス耐性の検定
佐藤 達雄吉田 誠大矢 武志
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2002 年 71 巻 1 号 p. 101-106

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抄録
野菜の高温ストレス耐性を評価する手法として, パルス変調(PAM)クロロフィル蛍光測定法の妥当性を検討した.野菜17種25品種を昼温20℃/夜温10℃の人工気象室で栽培し, (1)明期14時間を, 20℃とした;(2)明期開始とともに5℃hr-1の割合で加温し, 35℃に到達後, ただちに5℃hr-1の割合で冷却して20℃とした;(3)明期開始とともに5℃hr-1の割合で加温し, 35℃に到達後, 35℃に3時間保ち, その後, 5℃hr-1の割合で冷却して20℃とした.48日後, 葉切片に45℃の高温ストレスを与えてPAM法によりクロロフィル蛍光を測定し, 光化学系IIが吸収した光あたりの電子伝達量ΦIIを算出した.その結果, 供試した作物は, 高温順化の有無に関わらず高い高温ストレス耐性を示す野菜, 高温順化によって耐性を獲得する野菜, 高温ストレス耐性が低く, かつ高温順化能のない野菜の3種に大別された.この類別は, 供試した作物の温度特性とよく合致した.従って, 本法は高温ストレス耐性の簡便な指標として, 生育適温が広い範囲におよぶ各種の作物に適用可能である.
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