抄録
交雑受粉時の花齢が種子数とその発芽力に及ぼす影響を調査した.開花3日および1日前のつぼみと開花当時, 開花1日, 3日と5日後の花の各交雑で得られたさく果および種子数は受粉時の花齢によって異なった.'エンチャントメント'×イワユリ, 'エンチャントメント'×'コネチカットキング', 'ジョージア'×'ひのもと'では, 開花当日, 開花1日前, 開花1日後の受粉, 'コネチカットキング'×イワユリと'コネチカットキング'×'エンチャントメント'では, 開花時または開花後の受粉でさく果および種子がよく形成された.一方, 交雑不和合性を示したヒメサユリ×カノコユリ'内田'では, 開花3日前と開花5日後に受粉した時のみに種子が得られた.'エンチャントメント'×'コネチカットキング', 'コネチカットキング'×'エンチャントメント', 'エンチャントメント'×イワユリ, および'コネチカットキング'×イワユリの4交雑組合せから得られた種子の発芽力を, 播種後の30日間の種子発芽率の推移, 播種30日後の発芽測定終了時の累積発芽率(PG)および平均発芽日(MDG)に基づき測定した.受粉時の花齢は種子の発芽力に影響したが, その結果は各交雑で異なった.しかし, いずれの組合せでも開花後に受粉した雌ずいから得られた種子は, 開花時あるいは開花前に受粉した雌ずいから得られた種子より発芽が速く, 播種30日後の発芽率もよかった.さく果およびさく果形成数, および種子の発芽力の結果から, ユリの交雑受粉は開花後数日以内に行うのが適当であることが明らかになった.