抄録
ビワがんしゅ病抵抗性品種を効率的に育成するため, 付傷接種による抵抗性検定法を用いてA系統菌に対する抵抗性の遺伝様式を検討した.31組み合わせ, 1307個体からなる交配実生群を抵抗性(R)あるいはり病性(S)に分類した(試験1).抵抗性品種同士の交配において, 少なくとも片親が'シャンパン'あるいは'福聚院'である組み合わせではすべての個体がRと判定された.一方, 両品種を含まない交配組み合わせでは, RとSが3 : 1に分離した.抵抗性品種とり病性品種間の交配においても, 少なくとも片親が'シャンパン'あるいは'福聚院'の場合はすべての個体がRと判定されたのに対し, それ以外の組み合わせではRとSが1 : 1の比率で出現した.り病性同士の交配では, 少数のR個体が認められた'本田早生'セルフを除くすべての組み合わせでS個体のみが出現した.以上の結果から, がんしゅ病(A系統菌)に対する抵抗性は, 単一の優性遺伝子に支配され, 抵抗性品種のうち'シャンパン'および'福聚院'は優性ホモ, それ以外はヘテロであり, り病性品種はすべて劣性ホモと推察された.この仮説に基づき, 育種試験の交配実生についても抵抗性の分離状況を検定したところ(試験2), 15組み合わせ中14組み合わせで分離に矛盾は認められず, この仮説の妥当性が裏付けられた.