抄録
エチレンは収穫後のブロッコリーの老化に関わっている.エチレンの反応に対する調節を理解するために, ブロッコリーからエチレン受容体様遺伝子BO-ETR1, BO-ERS, BO-ETR2のcDNA断片を単離した.BO-ETR2は新規のcDNAでアラビドプシスETR2, トマトLeETR4およびBO-ETR1に対して77%, 68%, 58%の相同性を示した.ノーザンブロット解析ではBO-ETR1とBO-ERS mRNAは茎, 花の組織全てにおいて発現し, そのレベルは茎の方が高かった.ブロッコリーの老化の過程でBO-ETR1の茎, 花における発現には著しい変化はみられなかった.BO-ERSの転写物は茎の切断表面第一層で収穫12時間後に増大したが, 小花の基部では減少した.BO-ETR2 mRNAは茎においてのみ検出され, 収穫直後で最も高いレベルであった.BO-ETR2の転写物は収穫24時間後には明らかに減少した.この結果は, エチレン受容体の発現がブロッコリー組織で特異的に制御されていることを示した.