抄録
コムギのALMT1はアルミニウム(Al)イオンに応答してリンゴ酸を放出するが、Alイオンによる活性化機構は明らかではない。本研究では、Alイオンによる活性化に関与する領域の特定を目的に、コムギ、ライムギ、シロイヌナズナのALMT1相同遺伝子について、配列と機能の比較解析を行った。
コムギALMT1遺伝子と90%の相同性を示すライムギALMT1遺伝子をクローニングし、タバコ培養細胞に導入し、RNA発現量の高い株を選抜した。これら形質転換タバコ細胞のリンゴ酸放出能を調べた結果、Al存在下においてのみ、コムギALMT1と同程度のリンゴ酸放出能を示した。また、コムギと51%の相同性をもつシロイヌナズナのALMT1遺伝子もAl活性化リンゴ酸トランスポーターとして機能することが既に明らかになっている。Alイオンと相互作用をする領域としてマイナス荷電のアミノ酸(グルタミン酸、アスパラギン酸)を想定し、これらALMT1相同遺伝子間で保存されているマイナス荷電アミノ酸をコードする領域を調べたところ、数箇所存在した。現在、これらのアミノ酸残基を置換した変異ALMT1遺伝子を作成し、タバコ細胞に導入し、リンゴ酸放出能を解析している。