園芸学会雑誌
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根域制限下で栽培したキクの光合成, 蒸散特性と葉の形態に及ぼす養水分供給頻度の影響
後藤 丹十郎松野 太樹吉田 裕一景山 詳弘
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2002 年 71 巻 2 号 p. 277-287

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抄録
1日当たりの給液頻度(1日1回, 1日8回)および根域容量(30, 100, 300ml)がキク'ピンキー'の生育, 蒸発散速度, 光合成特性と気孔の形態に及ぼす影響について調査し, セル苗や鉢物生産などの根域制限下で生じる水ストレスの程度について検討した.根域容量が小さいほど地上部の生長は抑制されたが, 給液頻度を高くすると生育抑制の程度は軽減された.蒸発散速度は根圏の水分量と密接な関係にあり, 根域容量が30mlか100mlの場合は蒸発散量が根圏の最大保水量とほぼ等しくなると蒸発散速度は著しく低下した.しかし, 給液頻度が高い場合には蒸発散速度は高く維持された.気孔は給液頻度が高いほどまた根域容量が大きくなるほど大きくなった.1回-30ml(給液回数-根域容量)と1回-100mlの植物体では, 気孔が小さいばかりでなく, 気孔開孔率(開いている気孔数/全気孔数)が著しく低かった.また, 光合成・蒸散速度および葉内CO2濃度も, 1回-30mlと1回-100mlの植物体が著しく低かった.以上のように, 養水分を1日8回に分けて供給することによって, 根域制限下で栽培されたキクの蒸発散速度や光合成能力が高く維持され, 約3倍の根域容量で1日1回の養水分供給によって栽培されたキクとほぼ同様あるいはそれ以上の大きさにまで生育させることが可能であった.
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