抄録
腋芽の2次クラウン,ストロンヘの発達に対する頂芽優勢の役割を調べるため,一季成り性イチゴ'とちおとめ'の茎頂を切除した.葉腋に腋芽が見られる完全展開葉3枚,展開中の葉2枚を持つ苗を定植した.定植1日後に茎頂部を展開中の葉とともに除去した.植物体は6時から18時まで25℃,19時から5時までを19℃,15時間日長に制御した温室で栽培した.対照の植物体では,定植後数日のうちにクラウンから新しいストロンが発生した.茎頂部を切除しだ植物体では,切除後3週間目に2次クラウンから新しいストロンが発生した.茎頂部を切除した個体では2次クラウンが3つ形成されたが,対照の個体では第1花房の直下に1つしか形成されなかった.これらの結果は,1次クラウン下部の腋芽は頂芽優勢が破れると,長日,温暖な条件でも2次クラウンに発達することを示唆している.