ブドウ'デラウェア'の満開期の前後に,ジベレリン酸(GA
3)と硝酸アンモニウム(AMN)との混合液を2回浸漬処理し,無核果粒の着生と生長に及ぼすAMNの影響を1995年と1996年の2年間調査した.いずれの年度においても,またGA
3の処理濃度が50ppmあるいは100ppmであっても,開花後の果粒の初期生長は,GA
3単用処理区よりもAMNとの混用処理区の方が著しく促進され,特に満開12日後に両処理区間の差が最大となった.AMNの添加による果粒肥大の促進は細胞の肥大によっていたが,AMNの濃度が高いほど果粒肥大が促進される傾向がみられた.収穫期の果粒について,GA
3単用処理区とAMNとの混用処理区間で比較すると無核果粒率や滴定酸度に差異は認められなかったが,総可溶性固形物含量は摘粒をしなかった1995年ではやや減少する傾向がみられた.また,果粒重に対するAMNの効果は,果房当たりの着粒数が多いほど高く,特に低濃度のGA
3(50ppm)との混用処理区で高かった.本実験結果から,50ppm GA
3と25mM AMNとの混用処理は,慣行的に使用されている100ppm GA
3単用処理と果粒重において同等またはそれ以上の結果が得られることが明らかとなった.
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