園芸学会雑誌
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立体栽培を行ったスイカにおける栽植密度の違いが果実重,受光態勢および光合成に及ぼす影響
渡辺 慎一中野 有加岡野 邦夫
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2003 年 72 巻 6 号 p. 497-503

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抄録
栽植密度が立体栽培スイカの果実重に及ぼす影響について,植物体の受光態勢と光合成速度の観点から調査した.ユウガオ台木に接ぎ木したスイカの植物体を,ガラス室内で52.9,68.0,95.2および158.7個体・a-1の栽植密度で土耕栽培した.仕立て法は一次側枝2本仕立てとし,いずれか一方の側枝に1果実を着生させた.果実肥大期における葉の受光量を葉位別に積算日射計測フィルムで,また光合成速度を葉位別に携帯用光合成・蒸散測定装置で測定し,植物体当たりの総受光量および光合成量を推定した.栽植密度の増加にともなって果実重は有意に減少したが,果実の糖度は栽植密度の影響をほとんど受けなかった.栽植密度にかかわらず,葉の受光量と光合成速度は葉位の低下にともなって徐々に低下したが,その低下程度は栽植密度が高いほど大きかった.植物体当たりの総受光量および光合成量は栽植密度によって異なり,いずれも果実重との間に密接な関係が生じた.これらの結果から,栽植密度の違いによる立体栽培スイカの果実重の差異は,主として植物体の総受光量によって決定される光合成量の違いによって生じるものと考えられた.
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