園芸学会雑誌
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赤外線サーモグラフィによるニホンナシ花器の凍結過程の観察
瀬古澤 由彦菅谷 純子弦間 洋
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2004 年 73 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

晩霜害の発生機構を解明するため,ニホンナシ'幸水'の花器および幼果の凍結過程を赤外線サーモグラフィを使用して観察を行った.組織の凍結による2~5℃の温度の上昇(潜熱の放出)が,赤外線カメラで色の変化として確認された.花蕾期において,組織の温度は花床より花柄が先行して低下し,その後,凍結は花弁・花床から始まり花柄に伝搬していった.満開期においては凍結試験中,花床の温度は花柄よりも高く,がく・花床で氷晶の形成が始まり,花弁,花柄に広がっていった.このことから,花器の中ではがく・花床が,高い氷核活性を持つことが示唆された.しかし,幼果期においては凍結時の明瞭な潜熱の発生は観察できなかったが,幼果の果皮表面に障害が観察された.

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