園芸学会雑誌
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73 巻, 1 号
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  • 瀬古澤 由彦, 菅谷 純子, 弦間 洋
    2004 年 73 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2004/01/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    晩霜害の発生機構を解明するため,ニホンナシ'幸水'の花器および幼果の凍結過程を赤外線サーモグラフィを使用して観察を行った.組織の凍結による2~5℃の温度の上昇(潜熱の放出)が,赤外線カメラで色の変化として確認された.花蕾期において,組織の温度は花床より花柄が先行して低下し,その後,凍結は花弁・花床から始まり花柄に伝搬していった.満開期においては凍結試験中,花床の温度は花柄よりも高く,がく・花床で氷晶の形成が始まり,花弁,花柄に広がっていった.このことから,花器の中ではがく・花床が,高い氷核活性を持つことが示唆された.しかし,幼果期においては凍結時の明瞭な潜熱の発生は観察できなかったが,幼果の果皮表面に障害が観察された.
  • 佐藤 明彦, 山田 昌彦, 岩波 宏, 三谷 宣仁
    2004 年 73 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2004/01/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    ブドウ果粒の肉質に対するジベレリン処理の効果を器械的に明らかにするために,欧州ブドウ,米国ブドウおよび種間雑種14品種・系統のジベレリン処理果と無処理果の肉質を,レオメーターによる貫入試験によって比較した.用いた14品種・系統は遺伝的には有核であり,ジベレリン処理はいずれの品種においても満開期と開花後の2回行った.果肉のかみ切れやすさの指標である最初の破断までの変形量(以下,変形量)においてはジベレリン処理による有意な効果は認められなかった.果肉の硬さの指標である最大破断力は,ジベレリン処理果が無処理果よりも有意に大きく,ジベレリン処理によって肉質が硬くなることが器械的指標によって示された.しかし,変形量,最大破断力ともに品種・系統×処理交互作用が有意であったことから,品種・系統によってジベレリン処理の肉質に対する効果が異なると考えられた.このことは,遺伝的には果肉がかみ切れにくく軟らかい品種・系統であっても,ジベレリン処理によって生食用ブドウの望ましい肉質である,かみ切れやすく硬い肉質が得られる可能性を示唆している.可溶性固形物含量や酸含量は,ジベレリン処理果と無処理果との間に有意な差が認められなかったことから,ジベレリン処理果における硬さの増加は熟期の遅延によるものではなく,肉質が変化したことによるものと考えられた.
  • 山口 正己, 佐藤 功, 高瀬 紘一, 渡部 昭, 石黒 亮
    2004 年 73 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 2004/01/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    甘果オウトウの果実サイズの品種間差異に関わる要因を明らかにするために,甘果オウトウを中心に56品種系統について,果実重,中果皮の細胞数および細胞径を3年間にわたって測定した.また,日本のサクラ野生種および中国オウトウについても,同様の項目について測定を行った.さらに,幼果期の果実重の差異や摘花処理が中果皮細胞数に及ぼす影響について検討を行った.いずれの測定項目も大きな品種間差異が認められた.果実重は果実側径および果肉厚さとの間で有意な高い相関を示した.果実重と中果皮細胞数,細胞径の相関係数は,それぞれ0.611~0.706,0.488~0.599と年により変動したが,細胞数の数値がいずれの年次においても大きかった.また,年次間の相関係数は果実重で0.897~0.931,中果皮細胞数で0.826~0.847,中果皮細胞経で0.493~0.674であり,細胞径の数値が他の2つに較べて明らかに低かった.野生種の果実重は栽培品種に較べて著しく小さく,中果皮細胞数および細胞径は栽培品種の半分程度の数字となった.これらの結果から,オウトウの果実重の品種間差異には中果皮細胞数と細胞径の双方が影響を及ぼすものの,細胞数はより強い影響を及ぼし,より安定していることが判明した.幼果期の果実の大ささや,摘花処理が中果皮細胞数に及ぼす影響は小さく,本研究で用いた細胞数の判定方法が有効であると推定された.
  • 渡邉 学, 壽松木 章, 小森 貞男, 別所 英男
    2004 年 73 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2004/01/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    カラムナータイプリンゴ樹2品種'メイポール'および'タスカン',および普通タイプ樹'旭'の新梢中における内生インドール酢酸およびサイトカイニン含量の変化を調査した.両タイプのIAA含量は,7月よりも新梢伸長の盛んな6月において高くなる傾向がみられた.しかしながら,生育期間を通じたカラムナータイプ樹と普通タイプ樹間におけるIAA含量の明瞭な差異は認められなかった.サイトカイニン含量,特にZR含量は,6月のカラムナータイプ樹の新梢において普通タイプ樹よりも高かった.以上の結果から,カラムナー生長特性には,新梢中におけるサイトカイニンの量が関与していることが推察された.
  • 崔 世茂, 定好 喜美, 小川 洋平, 新居 直祐
    2004 年 73 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2004/01/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    モモの台木用品種'おはつもも'の2年生実生樹を用いて土壌乾燥処理が葉と根のソルビトール含量ならびに葉肉細胞の細胞核とデンプン蓄積に及ぼす影響を検討した.土壌の乾燥処理はかん水区(対照区),弱乾燥区(2日間無かん水),中乾燥区(3日間無かん水),強乾燥区(4日間無かん水)の4段階とし,乾燥程度は葉の飽和水分不足度(WSD)から判定した.乾燥処理によって葉のWSDは上昇し,それに対応して葉のソルビトール含量は増加したが,根のソルビトール含量には影響が見られなかった.乾燥処理が強くなるにつれて葉のWSDは明らかに上昇したのに対し,葉のソルビトール含量の増加はわずかであった.乾燥処理終了後かん水によって回復させた結果,かん水後1目目で葉のWSDは対照区と同じ値に復帰し,葉のソルビトール含量も対照区と同じレベルにまで低下した.弱乾燥区と中乾燥区では処理回復後の落葉はほとんど見られなかったが,強乾燥区では大部分が落葉し,枯死した供試樹も見られた.乾燥処理によって葉肉細胞中のデンプンは容易に減少し,回復処理後に再び蓄積した.強乾燥区では葉肉細胞の細胞核の崩壊が引き起こされたが,弱乾燥区と中乾燥区ではともに細胞核の変化は見られなかった.
  • 大塚 裕一, 木部 裕行, 箱田 直紀, 志村 勲, 荻原 勲
    2004 年 73 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2004/01/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    イチゴ果実中の糖含量の遺伝的特性を明らかにするため,共通花粉親として'とよのか'を用い,得られたF1集団から親子回帰により糖含量の遺伝力を推定した.その結果,全糖含量,ヘキソース(フルクトース+グルコース)含量およびスクロース含量の遺伝力は,それぞれ0.568, 1.153および0.004となった.全糖含量およびヘキソース音量で相加的遺伝子効果が認められたことから,ヘキソース含量が高く,全糖含量も高い品種を育成するには,ヘキソース含量が高く,全糖含量も高い特性を有する個体を交雑親に用い,その後代からそれら糖含量の高い個体を選抜する方法が効果的であると考えられた.一方,スクロース含量の遺伝力が低かったのは,収穫期間が長期にわたった結果,栽培環境の影響を受けたためと思われた.
  • 佐々木 和也, 遠藤 元庸, 稲田 委久子
    2004 年 73 巻 1 号 p. 36-41
    発行日: 2004/01/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    キクの茎頂培養における試料の採取時期ならびに母植物の生育ステージが再生能および再生個体の生育特性に及ぼす影響について調査した.秋咲きの食用ギク'阿房宮'と'延命楽'の2品種を供試し,茎頂をNAA(1mg・liter-1)を添加した静岡農試修正培地で3か月培養した.茎頂培養には無摘心の母株から採集した頂芽および腋芽を用い,1991年4月から9月の間に,2週から3週間おきに培養した.茎頂培養の再生率は品種および試料の採取時期により異なった.摘心後に発生する第1次側枝の頂芽のみを茎頂培養に用いたところ,再生個体は両品種とも母植物が生育旺盛な栄養生長期にあった場合に効率的に得られた.また,生殖生長期の初期(総包形成期)には,茎頂は両品種とも再生能力を維持していることが観察された.再生個体の生育特性には品種および生長ステージで差異が認められた.
  • 遠藤 元庸, 橋本 廣子, 金 〓心, 楊 際双, 稲田 委久子
    2004 年 73 巻 1 号 p. 42-50
    発行日: 2004/01/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    栽培ギク中,染色体数が最も少ない四倍体小輪ギク'YS'(2n=36)の育種的な利用価値および正六倍体品種との交雑実生個体の特性を明らかにする目的で行った.葯の発育過程を組織学的に観察の結果,花粉の成熟後も葯のタペータム細胞層が崩壊しないことが判明し,'YS'は花粉を放出しないタイプの雄性不稔とみなした.'YS'およびその倍加個体(2n=72)×正六倍体(2n=54)3品種の交雑実験を行った.1花序当たりの獲得種子数および種子の発芽率は,交雑組合せによりそれぞれ5.3~6.4,46.9~66%と異なった.実生当代の諸特性を調査した結果,生育は概して旺盛で,草丈は両親の中間値に比べて高い個体が多かった.花型は筒状花の花冠の発達程度により,'YS'(弁化型)×3品種(非弁化型)では花粉親型が多かった.花径は'YS'(小輪)×3品種(中輪)では両親品種の中間値に比べて約10%小さかった.花粉稔性は'YS'(5.3%)×3品種(78.6~83.1%)では花粉親のそれに類似し,雄性不稔性は,'YS'(雄性不稔性)×3品種(雄性可稔性)ではすべて雄性可稔性であった.染色体数は,'YS'(2n=36)×3品種(2n=54)では2n=45が最高頻度で生じた.実生育成後の諸特性の安定性は,4年間調査した結果,調査年次および交雑組合せにより異なったが,変化しやすい形質は草丈,草姿および開花開始日,安定した形質は花径,花芯径および花型(筒状花の形態),最も安定した形質は花色であった.本研究により,'YS'は交雑母本として,染色体数がかなり異なる品種との育種に利用が可能であると考えられた.さらに'YS'の成立出来を考察した.
  • 伊藤 聖子, 三石 安, 奥野 智旦, 加藤 陽治
    2004 年 73 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 2004/01/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    生育時期の異なるリンゴ果実'スターキング・デリシャス'の細胞壁を水可溶性と水不溶性多糖画分に分画した.これらの多糖画分に含まれるxyloglucanをGeotrichum sp. M128由来精製xyloglucanaseを用いて分解した. xyloglucanase分解物は,さらに,Eupenicillium sp. M9由来精製isoprimeverose-producing oligoxyloglucan hydrolaseによる分解前後でパルスドアンペロメトリー検出器を用いたHPLC分析に供した.両画分のxyloglucanはいずれも, XXG, XXXG, XXLG, XLXG, XXFG, XLLGおよびXLFGの主要オリゴ糖単位から構成されていた(XXXG等はFryらによるxyloglucanオリゴ糖の表示法で,主鎖の各(1→4)-β結合のグルコース残基の分岐様式により一文字コードで示される.G=β-D-Glc; X=α-D-Xyl-(1→6)-β-D-Glc; L=β-D-Gal-(1→2)-α-D-Xyl-(1→6)-β-D-Glc; F=α-L-Fuc-(1→2)-β-D-Gal-(1→2)-α-D-Xyl-(1→6)-β-D-Glc).果実の発育が進むにつれて,水不溶性多糖画分のxyloglucanでは,フコース含有オリゴ糖単位(XXFGとXLFG)の減少がみられた.また,水可溶性および不溶性xyloglucan多糖画分構成オリゴ糖単位中で5糖(XXG)が増加していた.
  • 立石 亮, 中山 大海, 磯部 勝孝, 野村 和成, 渡邉 慶一, 井上 弘明
    2004 年 73 巻 1 号 p. 57-59
    発行日: 2004/01/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    カボチャ品種'みやこ'(Cucurbita maxima)および'はやと'(C. moschata)の果実生長における糖の蓄積と糖代謝関連酵素活性の変動を測定した.糖の蓄積パターンは品種間で異なっており,収穫時では'はやと'は'みやこ'よりグルコースやフルクトースの蓄積量が多かった.未熟果ではスクロース含量が低く,また,スクロース分解酵素類の活性が高かった.両品種とも生長にともなって,スクロースリン酸合成酵素(SPS)活性が増大するとともにスクロース分解酵素類の活性が減少し,スクロースが蓄積した.SPS活性は'はやと'のほうが高かったが,両品種のスクロースの蓄積量に大きな差は認められなかった.SPSは果実生長後期のスクロースの蓄積に関与するが,カボチャの場合その蓄積量についてはSPS活性だけでは説明できなかった.
  • 内山 寛, 長谷川 愛, 青木 健司, 野村 和成, 米田 和夫, 窪田 聡
    2004 年 73 巻 1 号 p. 60-62
    発行日: 2004/01/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    オドントグロッサムOdontoglossumの原種6種と交配種4種,オドントグロッサムの属間雑種であるオドンチオダOdontiodaの4種とオドントニアOdontoniaの1種の染色体数を根端分裂組織を用いて酢酸オルセイン染色おしつぶし法により調べた.染色体数(2n)は次のとおりであった:Odm. grande, 44; Odm. williamsianum, 44; Odm. bictoniense, 56; Odm. harryanum, 56; Odm. nobile, ca.84; Odm. crispum, ca.112; Odm. 'Rawdon Jester', 44; Odm. 'Augres', ca.88; Odm. 'Lemonade', ca.88; Odm. 'Nichirei Strotordo', 56; Oda. 'Picasso', 56; Oda. 'Nationhood', ca.112; Oda. 'Nichirei Sunrise', ca.112; Oda. 'Peter Timoney', ca.112; Odtna. 'Moliere', ca.88.
  • ヌイエン ティ フォン タオ, 尾崎 行生, 大久保 敬
    2004 年 73 巻 1 号 p. 63-65
    発行日: 2004/01/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    試験管内でのAlocasia × amazonica (2n=28)茎頂へのコルヒチンおよびオリザリン処理による染色体倍加法を確立した.フローサイトメトリーと根端染色体観察により再分化植物体の倍数性を調査した結果,654個体のうち53個体が四倍体であり,144個体が混倍数体であった.コルヒチンおよびオリザリン処理による四倍体の出現率はそれぞれ9.0および7.3%で,最も倍加個体出現率が高かったのは,コルヒチン0.05%,72時間処理(20%)であった.二倍体に比べて四倍体の葉では,円形,幅広で厚くなる傾向があった.
  • 太田 勝巳, 森下 進也, 須田 浩平, 小林 伸雄, 細木 高志
    2004 年 73 巻 1 号 p. 66-68
    発行日: 2004/01/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    8種の花卉(トレニア,エキザカム,ベゴニア,グロキシニア,ロベリア,ミムラス,カルセオラリアおよびカンパニュラ)において1.0%キトサンの土壌混和処理および水溶性無機肥料(1.0%キトサンと同量の窒素量となるよう施用)の施与を行い,栽培試験により成長量と開花について調査した.その結果,定植時(種により播種6週間後から13週間後)において,いずれの花卉においても1.0%キトサン土壌混和処理は対照区(肥料,キトサンとも無施与)および無機肥料区に比べて有意に高い成長量を示した.また,1番花開花日については,トレニア,エキザカム,ベゴニア,グロキシニア,ロベリアおよびミムラスにおいて,1.0%キトサン土壌混和処理は他の処理区に比べ,1番花の開花が有意に促進されたことが認められたが,カルセオラリアおよびカンパニュラにおいては促進効果はみられなかった.これはキトサンによるエリシター効果,土壌中微生物相の変化あるいは有機物として直接植物に吸収利用されることによると推察される.
  • 小林 伸雄, / 宮島 郁夫, / , / , Silvina Soto, Diego Mata, Alejandro Escandon
    2004 年 73 巻 1 号 p. 69-71
    発行日: 2004/01/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    南米原産のTecomaの鉢物用新品種を創出するために,Tecoma stansとT. garrochaの種間交雑を行った.選抜された種間雑種個体の花冠は両種の中間の大きさであった.花色はT. stansが橙黄色,T. garrochaが橙赤色であったのに対し,種間雑種個体のそれは橙色であった.T. stansの開花にはウニコナゾール処理が必要であったのに対し,選抜された種間雑種個体はその処理が必要でなかった.今回育成されたT. stansとT. garrochaの種間雑種個体は観賞性に優れているため日本の花卉市場で注目を集めるものと思われた.
  • 杉浦 俊彦, 横沢 正幸
    2004 年 73 巻 1 号 p. 72-78
    発行日: 2004/01/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    リンゴおよびウンシュウミカンの栽培環境に対する地球温暖化の影響を年平均気温の変動から推定した.果樹栽培に有利な年平均気温として解析対象とした温度域はリンゴでは6~14℃およびこれよりやや狭い7~13℃,ウンシュウミカンでは15~18℃である.将来の気候の予測データとしては「気候変化メッシュデータ(日本)」を用い,約10×10 km単位のメッシュで解析を行った.その結果,リンゴ,ウンシュウミカンとも栽培に有利な温度帯は年次を追うごとに北上することが予想された.リンゴでは,2060年代には東北中部の平野部までが現在よりも栽培しにくい気候となる可能性が示唆され,東北北部の平野部など現在のリンゴ主力産地の多くが,暖地リンゴの産地と同等の気温になる,一方,北海道はほとんどの地域で栽培しやすくなる可能性が示唆された.ウンシュウミカンでも2060年代には現在の主力産地の多くが現在よりも栽培しにくい気候となる可能性が示唆されるとともに西南暖地の内陸部,日本海および南東北の沿岸部など現在,栽培に不向きな地域で栽培が可能になることが予想された.以上のように地球温暖化は今世紀半ばまでにわが国のリンゴおよびウンシュウミカンの栽培環境を大きく変化させる規模のものである可能性が示された.
  • 竹川 昌宏, 大和 陽一, 濱野 惠, 山崎 博子, 三浦 周行
    2004 年 73 巻 1 号 p. 79-81
    発行日: 2004/01/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    キャベツとチンゲンサイを供試して,9月~10月に3回にわたってセル育苗を行い,トレイからの抜き取りが可能となる以前の播種後15日目,20日目の苗と,十分に植鉢を形成した25日目の苗を定植し,定植後の生長速度を比較した.その結果,葉幅×葉身長から推定した総葉面積は,20日苗と25日苗がほぼ同じ様に推移したが,総葉面積の相対生長率と総葉面積が100 cm2から1,100 cm2に増加するのに要する日数においては,25日苗よりも15日,20日苗のほうが優れていたことから,25日苗では定植後の生長が遅延する傾向にあることが示された.
  • 山本 英樹, 藤 晋一, 浅利 幸男
    2004 年 73 巻 1 号 p. 82-84
    発行日: 2004/01/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    調査した秋田,福井,山形県産のチョロギは全てがウイルスに感染していた.そこで,0.5 mm程度のえき芽茎頂をMS培地に置床した結果,0.5 mg・liter-1BAを添加した場合は多芽体を形成したのに対し,NAAとBAそれぞれ0.5 mg・liter-1を添加した場合はカルス形成した後,苗条が再分化した.これらの苗条をホルモン無添加のMS培地に移植したところ,発根し,容易に順化した.順化個体の症状観察,接種試験およびRT-PCR検定を行った結果,3個体がVFであることが確認された.
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