抄録
キャピラリーバリア(以下,CBと記す)の構造は,砂層とその下部に礫層を重ねた層状土層である.両層の土粒子の大きさに起因する保水性等の違いにより,上部からの浸潤水は両層の境界面で遮断される.しかし,両層の土粒子径の差が大きいことから,上部の砂材が下部の礫層の間隙に混入しやすく,長期供用時にCBの性能低下が懸念される.この技術課題に対し,筆者らは,礫代替材として破砕した貝殻を用いることで課題を解決できる可能性を実験的に見出した.
本論文は,礫代替材に破砕貝殻を再利用したCBの実用性を検証するため,斜面長10mの実規模大の実験により限界長を実測すると共に,Steenhuis et al.が提案した推定式による限界長と比較検討した.その結果,破砕貝殻を利用したCBの限界長は,砂礫材で構成されるCBの性能と同等であると共に,Steenhuis et al.の推定式は実規模大,かつ,礫代替材に破砕貝殻を用いた場合も十分な精度で適用できることを示した.