抄録
イチゴ果実中の糖含量の遺伝的特性を明らかにするため,共通花粉親として'とよのか'を用い,得られたF1集団から親子回帰により糖含量の遺伝力を推定した.その結果,全糖含量,ヘキソース(フルクトース+グルコース)含量およびスクロース含量の遺伝力は,それぞれ0.568, 1.153および0.004となった.全糖含量およびヘキソース音量で相加的遺伝子効果が認められたことから,ヘキソース含量が高く,全糖含量も高い品種を育成するには,ヘキソース含量が高く,全糖含量も高い特性を有する個体を交雑親に用い,その後代からそれら糖含量の高い個体を選抜する方法が効果的であると考えられた.一方,スクロース含量の遺伝力が低かったのは,収穫期間が長期にわたった結果,栽培環境の影響を受けたためと思われた.