園芸学会雑誌
Online ISSN : 1880-358X
Print ISSN : 0013-7626
ISSN-L : 0013-7626
炭水化物高濃度添加培地で培養したアスパラガス茎および根組織片における短鎖フルクトオリゴ糖の集積
鈴木 卓中村 茂将秋山 克大洋 勝次
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 73 巻 2 号 p. 119-127

詳細
抄録

アスパラガス貯蔵根におけるフルクトオリゴ糖の生成を理解するため,幼植物体から切り出し,数種の可溶性炭水化物高濃度添加培地で培養した茎および根組織における,外与の炭水化物の集積並びに短鎖フルクトオリゴ糖(重合度3および4)含量の経時的変化を調べた.含水率および炭水化物分析の結果は,外与の炭水化物がいずれも組織中へ徐々に浸透したことを示した.短鎖フルクトオリゴ糖の集積は,ブドウ糖,果糖またはショ糖添加培地で12時間以上培養した組織に認められたが,ソルビトールまたはマンニトール添加培地で培養した組織では確認されなかった.根組織だけでなく茎組織も,in vitroで短鎖フルクトオリゴ糖を生成した.組織中のデンプン音量は,培養の有無にかかわらず変化しなかった.根組織では,外与された炭水化物の組織中濃度が茎組織のそれより低いレベルで短鎖フルクトオリゴ糖音量が増加し始め,培養96時間後における根組織のフルクトオリゴ糖音量は,茎組織のそれより多かった.集積した果糖,ブドウ糖およびショ糖に対する根組織のフルクトオリゴ糖生成反応の間値が茎組織のそれよりも低いことが,根物体にお討る茎および貯蔵根組織のフルクトオリゴ糖音量の違いを生む原因と考えられる.

著者関連情報
© 園芸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top