抄録
リンゴ(Malus domestica Borkh.)'印度'から,3種のクラスB MADSタンパク質相同cDNAクローンMdiPI, MdTM6およびMdiMADS13を単離した.塩基配列の類似性から,MdiPIはPISTILLATAホモログ,MdTM6とMdiMADS13はAPETALA3 (AP3)ホモログと考えられた.MdiPIとMdiMADS13は,それぞれ'印度'におけるリンゴのMdPIとMdMADS13に相当する遺伝子群であったが,MdTM6は,リンゴの新規AP3ホモログと考えられた.MdTM6とMdiMADS13は,系統解析の結果およびC末端領域にPIモチーフ由来配列とpaleo AP3モチーフがみられたことから,両者ともAP3の中のTM6 lineageに属すると思われる.MdTM6とMdiMADS13遺伝子はともに花弁と雄ずいで強い発現がみられたことから,両者ともにAP3ホモログ遺伝子としての機能を有する遺伝子であることが示唆された.本研究は,1つの植物に2つのTM6 lineageに属する遺伝子の存在を明らかにした初めての例である.