園芸学会雑誌
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ラバンジンの葉カルス由来再分化個体における精油成分の変異
律呂 正人中村 祥子三浦 慎一郎清水 千枝柏倉 真井上 雅好
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2004 年 73 巻 3 号 p. 272-279

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抄録
ラバンジン小花における精油成分量は開花直前に最高となり,その後大きく減少しないのに対して,精油成分比は開花過程の進行とともに変化した.特に,リナロールの成分比は花穂の伸長とともに増加し続けて満開期以降では全精油成分の40%以上であった.再分化個体では,精油量が親植物よりも増加するものが多く,精油成分比は個体毎に非常に多様であった.リナロール・酢酸リナリル・ラバンジュロール・酢酸ラバンジュリルの総計比とα-ピネン・β-ピネン・リモネン・1,8-シネオールの総計比の間,カンファー・ボルネオールの総計比とその他の成分の総計比の間で負の相関関係が認められ,良質な精油成分比をもつ個体の選抜が可能であることが示唆された.さらに,親植物体と精油成分比が著しく異なり,香調も変化した個体を得た.特に,リナロールおよびラバンジュロールが増加し,カンファーおよびボルネオールが減少した個体は樟脳臭のないラバンジンの育成素材として有用であると思われる.
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