2004 年 73 巻 3 号 p. 287-292
トルコギキョウ葉身の形態,個葉と個体の光合成特性をロゼット株と抽だい株で比較した.抽だい株の普通葉は,ロゼット株の低出葉と比較して葉肉細胞が小さく葉が薄かった.また,抽だい株はロゼット株と比較して葉のクロロフィル濃度と強光条件下における単位葉面積当たりの光合成速度が低かった.直達光を受けている上位葉の単位葉面積当たり13C同化量は,抽だい株がロゼット株よりやや低い値を示した.しかし,下位葉の単位葉面積当たりの13C同化量は,伸張した茎に葉が着生している抽だい株がロゼット株よりも有意に高かった.その結果,相対生長率に相当する乾物重当たりの13C同化量は,抽だい株がロゼット株の1.6倍になった.以上のことから,トルコギキョウにおいては抽だいにともなって単位葉面積当たりの光合成速度が高まることはないが,農薬が早まって葉面積が増大するとともに下位葉の受光体勢が改善されるため,個体としての光合成効率が向上し急速に生長するものと考えられた.