水文・水資源学会誌
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原著論文
Neareast-Neighbor法による実時間流出予測の実用的適用法に関する研究
藤原 洋一田中丸 治哉畑 武志多田 明夫
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2003 年 16 巻 1 号 p. 33-44

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抄録

Nearest-Neighbor(NN)法は, 本来, 統計的パターン認識法の一つであるが, 時系列予測法としても有効な手法である. NN法による流出予測では, 現在の事象に類似している過去の降雨流出事象を過去のデータから選び出し, それら過去の事象に連続する流量の標本平均を予測流量とする. 本研究では, 大河川である淀川流域を対象として, 1∼3日先の実時間流出予測にNN法を適用し, NN法による流出予測の実用的適用法について検討した. その結果, NN法の単純さにもかかわらず, 1日先流量の予測精度はかなり良好であった. 過去の事象を抽出するデータ期間長と予測精度の関係からは, 実用上十分な予測精度を得るためにはデータ期間が10年程度必要であることが示された. また, NN法では, 少数の雨量観測点のデータが利用できれば十分予測を行えることも示された.

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© 2003 Japan Society of Hydrology & Water Resources
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