2006 年 19 巻 1 号 p. 25-43
近年,世界各地において,洪水災害や異常渇水などに代表される様々な河川災害が多発している.また一方で,地球規模での気候システムに何らかの変化が生じていると言われているが,そういった地球規模での変化が,貯水池管理に代表されるような地域的な水資源管理に及ぼす影響については,いまだ十分に議論されていない.こうした状況下において,効率的な貯水池管理を実現するためには,それぞれの流域に関係すると期待される,より多くの情報の利用を検討する必要がある.また,近年の各貯水池での水文学的状況の観測結果に応じ,各貯水池における操作ルールを変化させる過程を導入することも,変わり行く気候システムの中で安定した水資源管理を行うには効果的な手法であると考えられる.
そこで,本研究では,地球規模気象情報を考慮した連続貯水池操作支援システムを提案し,予測精度の向上を試みる.そしてさらに,操作結果と得られた水文情報の観測結果から操作ルールを自律的に変化させる過程を考慮した,学習型連続貯水池操作支援システムを提案し,より効果的な水資源管理手法の確立を図る.