抄録
本論文は都市中小河川における実時間洪水予測に適した集中型概念モデルの精度向上に向けて,多くの大都市で採用されている合流式下水道の流出特性を考慮した二価関数の貯留関数モデルである都市洪水貯留関数モデルを構築し,これを都市型洪水氾濫被害が頻繁に発生している東京の代表的中小河川である神田川の上流域に適用し,その適合性及び特性について検討を行った.
合成合理式,星らの貯留関数モデル及び構築した都市洪水貯留関数モデルの3種類の集中型モデルを3地点の実測洪水流量観測データに適用し5種類の誤差評価関数に対してパラメータ同定を行い,そのハイドログラフを作成して観測値との比較を行った.その結果,都市洪水貯留関数モデルは,ハイドログラフの形状全体を良好に表現でき,特にピーク流出高及び総流出高の双方が精度良く算定されることを確認した.さらに本モデルで考慮する合流式下水道の流出特性の妥当性を評価した.