水文・水資源学会誌
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原著論文
土壌水分保持データに基づく熱帯土壌の浸透特性
Muhamad ASKARI田中 正Budi Indra SETIAWANSatyanto Krido SAPTOMO
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2008 年 21 巻 3 号 p. 215-227

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抄録

熱帯土壌の浸透特性を予測するため,インドネシアの多くの地域から採取された未撹乱土壌の水分保持特性と水理特性を分析した.採取した土壌の土性は国際土壌科学学会の分類法に基づいて分類した.また,pF=1,pF=2,pF=2.54,pF=4.2で体積含水率と土壌水分張力との関係を予測するためにvan-Genuchtenモデルを適用した.このモデルのパラメータを最適化するために,また空気浸入値を予測するために合計165個の土壌水分保持特性データを使用した.それぞれの土性の浸透能特性を明らかにするために,Green-AmptとPhilipの浸透モデルを適用した.さらに,室内実験結果との比較において,Green-Amptの浸透モデルによる累積浸透の数値シミュレーション結果を検証するために,Nash and Sutcliffeの効率係数を使用した.
本研究の結果,合計165個の土壌試料が,国際土壌科学学会分類法に基づいて分類され,重粘土,砂質粘土,砂質粘ローム土,砂壌土,砂土,軽粘土,埴壌土,ローム土,シルト質粘土,シルト質粘ローム土の10タイプに分けられた.Green-Amptの浸透モデルの性能評価試験結果から,Green-Amptの浸透モデルは土壌の水分保持特性と水理特性のデータを使用することによって,各土壌の浸透特性を評価できることが明らかとなった.また,熱帯土壌の土性の違いは,浸透速度,浸潤前線深度,およびsorptivityに関して,著しい対照を示した. さらに,熱帯土壌の浸透特性は主に,透水係数,初期水分量,および浸潤前線先端における土壌水分張力の大きさによって影響されていることが明らかとなった.

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© 2008 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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