水文・水資源学会誌
Online ISSN : 1349-2853
Print ISSN : 0915-1389
ISSN-L : 0915-1389
原著論文
北海道下川地域における未観測流域の流出量を考慮した流域水収支の検討
景山 宗一郎池田 誠富山 眞吾
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 23 巻 4 号 p. 301-311

詳細
抄録

統合的かつ持続可能な水資源管理を行なう上で,流域水収支を把握することは非常に重要である.水収支を構成する涵養量は,地下水資源開発や3次元地下水流動解析における重要な因子であり,水収支解析においては降水量から蒸発散量および流出量を減じた残差として算出される.近年,レーダーアメダス解析雨量データなどの2次元分布データの整備により,降水量および蒸発散量についてはその空間分布を精度良く推定することが可能となってきている.一方の流出量に関しては,流量観測所の設置が主要河川に限定されるため,観測所が存在しない流域(未観測流域)における流出量推定手法の確立が課題となっている.
本研究では流出と密接に関係している地形に着目し,DEMを用いた地形計測および統計量解析より求められる「流出指標」をもとに,北海道下川地域の未観測流域における流出量の推定を行なった.流出指標と2008年8月に測定した河川流量データとを比較した結果,両者の間には強い正の相関関係が見られた.この結果は流出指標の妥当性を示すとともに,両者の回帰式を用いて未観測流域の流出指標を河川流量に変換することが可能であることを示唆している.

著者関連情報
© 2010 Japan Society of Hydrology and Water Resources
次の記事
feedback
Top