水文・水資源学会誌
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原著論文
CMIP3マルチ気候モデルにおける日本陸域を対象とした地上気象要素の再現性・不確実性評価
道広 有理佐藤 嘉展鈴木 靖
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2011 年 24 巻 5 号 p. 280-291

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抄録
 水文・水資源の分野では,過去の観測データに基づいて河川計画の策定が行われている.長期的には気候変動の影響を考慮したリスク管理を行う必要があるが,その影響の定量的な評価については気候モデルによる数値実験結果に大きく依存しており,気候モデルの再現性について正確に理解しておくことが重要である.本研究では,気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書で用いられている第3次結合モデル相互比較プロジェクト(CMIP3)のマルチ気候モデルによる20世紀再現実験の結果を用い,日本陸域を対象に降水量をはじめとした地上気象要素の再現性について評価した.気候モデル別の実験結果のばらつきは特に降水量・降雪量で大きく,我が国の季節変動について全く再現できていないモデルも存在するため,再解析値(JRA-25)および気象官署の観測値を基準として再現性のよい気候モデルを選別し,将来予測の不確実性の低減を試みた.
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© 2011 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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