水文・水資源学会誌
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解説シリーズ「都市気象学の体系化に向けた最近の研究から」
屋外模型都市実験
解説シリーズ「都市気象学の体系化に向けた最近の研究から」
河合 徹
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2016 年 29 巻 2 号 p. 130-139

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抄録

 ヒートアイランドや集中豪雨に代表される都市固有の気象現象が引き起こされる要因の一つに,都市化に伴う熱収支の変化が挙げられるだろう.筆者らは都市化に伴う熱収支の変化と,この要因を把握するために,屋外に大規模な模型都市を作成して気象観測を行ってきた(Comprehensive Outdoor Scale Model Experiment for Urban Climate; COSMO).本稿では,COSMOと実都市より得られた熱収支データをレヴューし解釈する.都市は裸地等に比べて温まりにくく冷めにくい性質を持つ.これが夜間に顕著になるヒートアイランドを引き起こす一因となる.都市化(建物が立ち並ぶこと)がなぜこのような変化を引き起こすのかについての物理的なメカニズムを述べ,また,サイトや季節間で熱収支がどの程度異なり,なぜそのような違いが生まれるのかを考察する.さらに,都市熱収支のモデリングについても概説し,主要な空気力学的地表面パラメータである熱粗度のパラメタリゼーションにCOSMOを利用した事例を紹介する.

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© 2016 Japan Society of Hydrology and Water Resources
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